フードスタイリスト、フードコンサルタントの河合真由子です。7月に行った自社HP用の新規ビジュアル撮影。今日はその中でも和食のフードスタイリングについて、撮影の裏側とともに、和食のフードスタイリングをする上でのポイントについてご紹介をしたいと思います。
和食のフードスタイリングの場合、お皿の配置がまず肝になります。
本来であるならば、ご飯が左手前、お味噌汁が右手前、主菜がその向こう側に位置し・・・という基本のお膳の並びにそって並べるのが基本形です。
ただし、フードスタイリングにおいては、必ずしもそれが正解ではありません。
例えば、主菜をメインに見せたい場合は、主菜を一番手前におき、ご飯、味噌汁を奥に配置することがあります。主菜をメインにみせたいが、ご飯と味噌汁とあわせて和食の膳(定食)として想起させたい場合や、ご飯に合う主菜(おかず)であることを強調させたい場合には効果的なスタイリングといえます。
こちらの図は冒頭にあげた写真のコーディネートのラフ案になります。
レシピオブライフでは、撮影の際には、必ずラフ案を作成します。
(ラフだけの場合もあれば、企画の意図、ストーリーも含めた企画書をお作りすることもあります。その場合は、もっと詳細につくりこまれた企画書を作成しています。)
こちらのカットは、晩秋の夕食を想定し、のっぺい汁とごはんそしてそれに合うおかずをあわせた、程よく品と丁寧さをかんじる和食のテーブルのイメージを意図として企画しました。
メニューは、鮭ののっぺい汁をメインに、新米の季節にふさわしく鍋炊きの白ごはん、そして和食のテイストにあわせた春菊のサラダ、きんぴらです。
和食のスタイリングで最も気にしなければならないのがカラーコーディネートです。
左上の手書きのラフをご覧いただくとわかるように、和食は調味料の関係でどうしても茶色一辺倒になりがちです。
ですので、メニューを決めたら、まずは料理自体の色味を調整する必要があります。
例えば、春菊のサラダには、黄色のもって菊、ラディッシュを添えて味とともに彩りを添えるようにしました。(ちょうど、美味しく見える色の組み合わせである、緑、赤、黄色の色の調和もとれています。)
のっぺい汁は、鮭がメインですが、かまぼこの白とピンク、里芋、椎茸の白い部分をみせて色のバランスをとっています。
また料理一品ずつだけではなく、複数の料理が並ぶテーブルコーディネートでは、全体の統一感というのも大切です。つまり、全部が全部、華やかでカラフルである必要はありません。また、料理のもつトーンを大切にすることも必要です。
例えば、のっぺい汁には絹さやなどの緑のものを添えてもよかったかもしれませんが、手前のきんぴらにもサラダにも緑がつかわれているためあえて緑を添えていません。
そのかわり、背後にシックな緑の布を添えることで料理全体のトーンをそこなうことなく、彩りとともにコーディネート全体を引き締めています。
和食の器選びは、伝えたいイメージにあわせて質感と厚みに注目してセレクトすることをおすすめします。
冒頭の写真の場合は、晩秋のすこしほっこりするおうち時間をイメージしています。そのため、器は白磁よりも陶器がマッチします。その上で、過度に装飾をほどこした作家物の器よりはできるだけシンプルなつくりのもの、そして質感も表面の釉薬はツヤのあるものを選んでいます。ここがほどよいほっこり感を演出する肝になっています。
また、器の厚みは、薄いとモダンでスタイリッシュな印象になってしまいます。今回は、ほっこりするおうち時間がテーマですので、厚みのある陶器を選んでいます。
食器の色味も、今回はほっこりを大切にしていますので、料理とのコントラストが強くない茶〜赤、また一つだけ水色をつかっていますが、こちらは濁色(※)をつかうことで落ち着いたトーンでまとめています。
そうすることで、作り込みすぎない、ほどよくくだけたおうち感を演出する狙いがあります。
※清色、濁色とは?
https://www.toyoink1050plus.com/color/chromatics/basic/009.php
和食のフードスタイリングはお皿の数も多くなるため、慣れないうちは、食器の配置とともに特にお皿選びが難しいとおもいます。まずは、いろいろな和食器のスタイリングされた写真をみることで、パターンを掴むこと。次にコーディネート全体のイメージを想像し、そこから料理のもつ温度感を崩さないように食器を選んでいくといいとおもいます。
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