フードスタイリスト、フードコンサルタントの河合真由子です。
7月に行った自社HP用の新規ビジュアル撮影。今日はその中から、モロッコをイメージしたフードスタイリングをとりあげ、撮影のバックストーリーとともに、食卓イメージを伝えるフードスタイリングの手法についてご紹介したいと思います。
仕事をする上では、○○のようなフードスタイリングにしてほしい、という具体的なオーダーをいただくことはあまりありませんが、逆にこちらからお客様に対し、「お客様の商品やサービスがもつ世界観は、○○風と捉えられるのでそういった方向性でまとめませんか?」と提案することは多々あります。
その○○風というスタイリングのテイストは、実際はどこから情報収集してくるのか?というお話が今回のスタイリングの1つ目のポイントとなります。
今回、私の中で、モロッコ風の乾いたピンクの土壁風の天板をスタイリングでつかってみたいという希望があり、それをあらかじめオーダーしていました。それとともに、以前弊社がプロデュースしたデリバリーブランド「EATTE」が、地中海式食事法を推薦していらっしゃり、食材のもつ旨味をいかし、オリーブオイルや調味料で簡単に調味された料理の手法が、Recipe of Lifeのコンセプトでもある「おいしいを、もっと心地よく」にフィットするとおもい、モロッコや南仏などの地中海沿岸で食べられるほどよく抜け感のある食事とテーブルコーディネートをテーマにしました。
その後、モロッコ風のフードスタイリングについては、Pinterestで検索をしました。
前述のピンクの土壁を起点に探すと、籠やドライフラワーが上手にあしらわれていたり、色も清色よりは濁色、そして器はツヤ感のあるぽってりした厚みのある陶器が中心であることがわかってきます。形も人工的に綺麗に成形されたものよりも、手作り感のある多少のゆがみや塗装の塗りムラなどがあるものほうが、モロッコ風のテイストであることがわかってきます。
また、あわせてモロッコをテーマにした雑貨を扱うお店(Fatima morroco) からもヒントをいただきました。
通常の業務であれば、この時点でスタイリングのコンセプトを、色、形、マテリアルなどの各項目に従い明確に定義づけをします。
一方、フードに関しては、モロッコ料理や地中海風をベースにし、私達日本人がひと目みてわかるものをセレクトしています。リサーチの段階で、モロッコ料理の書籍や地中海料理などをピックアップしましたが、最終的には、みる人間がひと目見て味を想像できて、美味しそう!となることが大切です。そのため、いろいろ美味しそうな料理は他にもありましたが、お魚の蒸し物、ムール貝のビール蒸し、クスクスサラダ、パプリカのマリネなど、私達日本人でも馴染みのあるものを中心にセレクトしています。
冒頭の写真のラフから、今回のスタイリングのポイントについて更に詳しくご紹介していきます。
複数のお皿がでてくる食卓感のあるフードスタイリングの場合、何を一番主役にするか?がポイントになります。
あれこれ沢山お皿がでてくると、どうしてもごちゃつく原因になり、また単純に皿数を減らしても、今度は、主張のない食卓になってしまいます。
今回は、この食卓の中で一番のメインはお魚(白身魚のレモンナンプラー蒸し)と定義しています。手書きのラフをご覧いただくとわかるように、一番のメインをど真ん中に配置しています。(実際の写真撮影では少し左によっていますが、上下のラインは真ん中にしてあります。)
この真ん中をしっかり埋めることで主役の存在がはっきりし、ごちゃつき感のないスタイリングになっています。
こちらは以前、弊社のサイトでつかっていたヘッダー画像ですが、こちらもど真ん中にサラダを配置し、しっかり主役であることを主張させています。
このように複数の人数を想定させる食卓感のあるフードスタイリングの場合、大皿と個別皿、どちらを主役にするか?を決め、どちらかを際立たせることが大切です。