Recipe of Life | フードスタイリスト、フードコーディネーター河合真由子 東京

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売れる料理撮影の法則

売れる料理撮影の法則

アイスクリームの撮影方法|プロのフードスタイリストが教える“溶けない作り方・段取り”

シズル感いっぱいのアイスを撮影するには

シズル感いっぱいのアイスを撮影するには

アイスクリームの撮影は「すぐに溶けてしまう」「形が決まらない」「しずる感が出ない」など、料理撮影の中でも難易度の高いジャンルです。

この記事では、広告撮影・商品撮影の現場で累計1000件以上の撮影に携わってきたフードスタイリストの実体験から、

  • アイスが溶けない状態をつくるための前日準備
  • 当日の段取りと“出すタイミング”の最適解
  • しずる感(溶け感)をつくるプロのテクニック

など、明日からすぐに実践できるプロの方法をまとめました。
食品メーカーやスイーツ関連企業様の撮影にも役立つ内容です。ぜひ参考にしてください。

アイスクリーム撮影が難しい理由

アイスクリームは温度変化に非常に敏感で、

  • 室温であっという間に溶ける
  • 撮影中の調整時間が長いと形状が保てない
  • 撮影時にライトの熱でも柔らかくなる

という特徴があります。
だからこそ、前日の準備・撮影順(香盤)・現場の段取りの3つが仕上がりを大きく左右します。

撮影前日に必要な準備

ここまで仕込めば簡単には溶けない

ここまで仕込めば簡単には溶けない

アイス撮影は「前日仕込み」が命です。ここが甘いと、いくら技術があっても美しい状態を作ることができません。

家庭用冷凍庫だけでは不十分な理由

家庭用冷凍庫は約−18℃。一方で、撮影現場で求められるのは「カチカチに固めて、撮影中も崩れない強度」です。

これを実現するのが、約−78℃前後のドライアイスです。

ドライアイスを使った固め方(プロの手順)

例えば、弊社では次のような手順で撮影用のアイスを準備しています。

  1. 蓋つきの発泡スチロール容器を用意する
  2. 底にドライアイスを敷く
  3. アルミトレーにパラフィン紙を敷く(熱伝導が良いため)
  4. ディッシャーでアイスを美しく丸く抜く
  5. 1個ずつ並べる
  6. 発泡スチロールにトレーごと入れて蓋をする
  7. 半日程度かけて中心まで完全に固める

ここまでしっかり仕込んでおくと、真夏であっても簡単には溶けません。

撮影当日の段取りと“出すタイミング”

撮影当日は、香盤(こうばん:撮影順の一覧)に沿って動くのが基本です。

アイスを撮るタイミングを最初に決めておく

アイスは時間との勝負なので、

  • どのタイミングでアイスのカットを撮るのか
  • 前後のシーンは何か
  • 会場の温度やライトの強さはどうか

といった点を、事前にスタッフ全員で共有しておきます。

固めたアイスを出すのは「シャッター直前」が正解

これは業界の鉄則です。

アイスを出してから、

  • スタイリングの微調整
  • カメラ越しの見え方チェック
  • クライアント・スタッフ全員の合意形成

といったプロセスを踏んでいると、その間にアイスが溶けてしまいます。

そのため、構図・小物・ライティングなど、アイス以外の要素がすべて決まってから、最後にアイスを出すのがベストです。

しずる感(溶け感)をつくる方法

 

固めすぎたアイスは、必ずしも「おいしそう」に見えるとは限りません。
そこで有効なのが、ストローの息吹きテクニックです。

ストローで溶け感をコントロールする方法

しずる感をつくりたいときには、次のようにして表面の溶け具合をコントロールします。

  1. 溶かしたい部分にストローを近づける
  2. そっと息を吹きかける
  3. 表面だけが少し溶け、霜が消えてツヤが出る

息の強さ・距離を調整することで、

  • 表面の霜だけを飛ばす
  • 表面がほんのり溶けた状態をつくる
  • 全体的にとろっと溶け出した状態をつくる

といったニュアンスを出すことができます。

とてもアナログな方法ですが、「自然なアイスの溶け方」を再現するには、とても有効なテクニックです。

撮影シーンのバリエーションをつくるコツ

アイスクリームの魅力を最大限に引き出すためには、撮影カットのバリエーションも重要です。

代表的なバリエーション例

  • 固めの丸いアイスをシンプルに見せるカット
  • ほんのり溶け出したアイスのアップ
  • スプーンですくった一口シーン
  • パフェやデザートの一部としてのアイス
  • とろっと溶けかけた、動きのある一瞬

同じ商品でも、見せ方次第で「贅沢感」「やさしさ」「爽快感」など、伝わる印象が大きく変わります。

まとめ|アイスクリーム撮影は「準備と段取り」がすべて

アイスクリーム撮影を成功させるためのポイントをまとめると、次の5つです。

  • アイスは前日にしっかり仕込んでおく
  • ドライアイスと発泡スチロールでカチカチに固める
  • 撮影当日は香盤でタイミングを明確にする
  • アイスを出すのはシャッター直前
  • しずる感はストローで少しずつ溶かしてつくる

この5つを押さえるだけでも、アイスクリーム撮影のクオリティは大きく変わります。
冷菓・スイーツの撮影を予定している企業様は、ぜひ参考にしてみてください。

冷菓・スイーツ撮影のご依頼について(企業様向け)

食品・スイーツ・冷菓関連の企業様向けに、下記のような撮影サポートを行っております。

  • 商品撮影(広告/パッケージ/EC/SNS)
  • レシピ開発と撮影を一貫して行うプランニング
  • フードコーディネート/フードスタイリング
  • 撮影内製化のための企業研修・撮影講座
  • InstagramなどSNS運用用クリエイティブの撮影

冷菓・スイーツ商品の撮影でお困りの企業様へ。
「溶けない準備」「効率的な香盤づくり」「しずる感表現」など、
専門性の高い冷菓撮影についても、ぜひお気軽にご相談ください。

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※一般公開していない実績が多数あります。ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。

 

河合 真由子
Mayuko Kawai
フードスタイリスト / フードコンサルタント
岐阜県出身
大学卒業後、流通業界に就職。販促企画、VMDなどを経験。その後、海外で飲食店の出店支援やカフェの立ち上げに携わる。帰国後、フードコーディネーター養成スクールを経て独立。雑誌、CM、広告のスタイリング、フードコーディネート、飲食店へのメニュー提供、飲食コンサルティングを行う。
めざましTVのお仕事がきっかけで朝型のライフスタイルにめざめ、朝ごはんメニューの提案と朝の時間をもっとたのしみたい女子の朝活コミュニティ「とっておきの朝食会」を主催。
盛り付けレッスン 盛り付けレッスン