フードコンサルタント、フードスタイリストの河合真由子です。
撮影用の背景としてよくつかわれるスタイリングボード。1つあるだけで一気におしゃれな雰囲気になるため
広告などの商用の撮影現場ではもちろんですが、ここ数年は一般の方も、SNSにアップする写真用に使われる方が非常に多くなりました。
ここ1,2年は、写真のグレーのスタイリングボードをつかうのがトレンドというか、比較的よくつかわれています。
ここに料理をのせるだけで、一気におしゃれになるからというシンプルな理由です。
Dean&DelucaやRoman and Williams Guiltのようなスタイリッシュさを求めるならこういうスタイリングボードがおすすめです。
スタイリングに使う色は極力絞り、スタイリングボードの質感をみせることで、スタイリッシュさだけでなく、質の良さ、品の良さをみせるのが目的。また、商品や食材などの素材をシンプルに引き立たせたい場合にも、脇役に徹してくれるのでおすすめです。ただし、生活感を出したいときには、あまりリアリティがないのがこのボードの弱点でもあります。
そして、個人的にはこのテイストは見飽きたというのが正直なところです。
最近のスタイリングの基本はミックススタイルです。ミックスというのは大きくわけて2種類あります。1つはスタイルミックス。そしてもう1つは素材ミックス。
前述のグレーのスタイリングボードを使う際にも、モダンな印象になりがちなところをナチュラルなテイストを少し要素として組み込むことで、日常の食卓との親和性をはかるというスタイリング方法もあります。
具体的には、ハードになりがちなテイストの中に、ナチュラルなガラスのコップにハーブをカジュアルにいけて、飾れば少しだけナチュラルなイメージを加えることができます。自然の要素をいれることで、すこしだけ和らいだ印象になり、食卓に温もりも感じられます。
きっちりテーマに沿ってスタイリングをすることも大切ですが、どこか外しのポイントをつくることも、よりリアリティがあって好まれます。例えば、前述のグレーのスタイリングボードには、ピューターなどのシルバー系のハードめなお皿であったり、モダンな印象のhasami porcelainの器がスタイル的にはあいますが、あえて、ラフなイメージのwonkiwareの器などをもってきて外すというのも、個性的で印象に残るスタイリングになります。
hasami porcelainは、いい意味で直線的で画一化された工業製品、少し無機質な印象もありますがそれがスタイリッシュな雰囲気をだしてくれます。他方、wonkiwareは、南アフリカで1つ1つ手作りされているブランド。釉薬の塗りムラも個性、形がそれぞれ微妙に違うのもご愛嬌なところが、肩肘張らず、ラフな雰囲気で、みている側に対しても隙を与えるところから共感がうまれます。
外しを入れる場合は、すべてを外すのではなく、色は全体のトーンにあわせて白をえらびつつ、形や素材で外すなど、部分的に外すことが違和感なく合わせるポイントです。