フードスタイリスト、フードコンサルタントの河合真由子です。
7月のことになりますが、自社のHP用にあらたに撮影を行いました。
その時のエピソードをもとに日頃、弊社がおこなっている撮影の準備方法についてご紹介をしたいとおもいます。
撮影となったときにまずおこなうのが「企画書」づくり。
撮影に関わる人は、フードスタイリストだけではなく、カメラマンやディレクター、またアシスタントスタッフなど関わる人数は多数です。そのため、なんとなくの「感覚」ではなく、しっかりと何の撮影をするのか、また何のための撮影なのかを事前に細かに共有し、すり合わせをしておくことがスムーズに撮影をおこなう上での最初の一歩となります。
具体的には、撮影の意図、また、撮影シーンの想定、カメラアングル、ライティング(自然光、人工光だけでなく、全体の明るさのトーンや雰囲気など)、何を一番見せたいのかといったところを細かに共有し、必要であれば事前に打ち合わせをします。
また、撮影シーンにおける器や小物のコンセプトを定義付けしておきます。
私はフードスタイリストですので、料理や、盛り付け、器やテーブルコーディネートの領域は専門ですが、フードスタイリストが提案するスタイリングをカメラマンなどの別の専門分野の人間がそれぞれの専門的な観点から、実現可能なのか、どうかを判断したり意見するのはとても大切です。
そのため、みんなの共通言語ともなり、土台にもなる「企画書」づくりはとても大切な仕事なのです。
撮影の土台が決まったところで次に行うのが料理と食材と料理の盛り付け。企画書の段階で大まかな料理名や料理の見た目イメージは決めていますが、次の段階では、その料理をどのような食材をつかってつくり、どう盛り付けるかを具体的に決めていきます。
私の場合は、撮影当日にいきなり料理をしてその場の感覚で盛り付けをすることはほとんどなく、予め料理とつかう食材と盛り付けの3つを決めて本番に臨みます。
特に、唐揚げや出汁巻き卵などのいわゆるザ定番料理は、盛り付け次第で見た目の印象もかえることができます。また、定番の料理にもトッピングはもちろんですが、ソースをかけたり、カラフルな食材を加えることもできます。
そうやって一つひとつ料理を設計して、皿数が多い場合は、料理全体のバランスをみて、差し引き加減を調整します。
料理がある程度決まった時点で、撮影用の食器やランチョンマットなどの小物を選びます。主に、専門のリースショップにいき必要なものをセレクトしていきます。
ここでも、最初の企画が土台になります。企画の時点で、撮影シーンにおける器や小物のコンセプトを定義付けすることで、リースショップでも、迷いなく、必要な小物を選ぶことができます。また料理の設計もおえているため、料理が映える器選びができます。
最初の企画やコンセプトがしっかり決まっていないとここで大いに迷うことになり、結果撮影現場でも結局同じように迷うことになります。
私は、撮影は準備が8割だと考えます。事前にしっかり準備をし、予測されることは予め対策をたてておくことで撮影当日は余裕をもって撮影に臨むことができ、結果、残りの2割の余白でよりよいものが引き出されるのだとおもいます。