Recipe of Life | フードスタイリスト、フードコーディネーター河合真由子 東京

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飲食店経営

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猛暑でカフェの売上が落ちる本当の理由 〜「暑いから来ない」を突破する時間帯×体験設計術

猛暑でカフェの売上が落ちる本当の理由。「暑いから来ない」を突破する時間帯×体験設計術

〜単なる冷やしメニューで終わらせない、夏場の粗利最大化アプローチ〜

朝8時で30℃超え。昼は37℃。

こんな猛暑の中、昨年と同じ営業スタイルでカフェを続けていませんか。「夏は仕方ない」「暑いから客が来ない」と諦めているオーナーは少なくありません。しかし実際には、猛暑の夏こそ、時間帯ごとの顧客心理を正確に読んで戦略を組み直した店舗だけが生き残れる季節です。

「冷やしメニューを出せば来る」では足りません。この記事では、夏の集客を時間帯別に再設計する考え方を解説します。

一番危険な思考パターン

最初に断言します。

「一番暑い昼(12〜15時)に客を呼ぼうとして、販促費と人件費をドブに捨てること」——これが夏の飲食店経営で最もやってはいけないことです。

猛暑日(35℃以上)の昼間に、わざわざ外出してカフェに来る人の数は構造的に減ります。「SNSで告知すれば来る」「割引すれば来る」は、この時間帯には通用しません。

夏の戦略の本質は、来ない時間帯に無駄打ちするのではなく、「来やすい時間帯」に全力を集中させることです。

夏の三時間帯戦略

戦略 01 / 朝

急速冷却の需要を刈り取る

「朝8時で30℃でも、朝需要はある」——これを多くのオーナーが見落としています。日中の37℃と比較して、朝の30℃は「まだ動ける」という相対的な行動心理が働きます。

さらに決定的な違いがあります。昼間のカフェ利用は「わざわざ行く」目的型の来店ですが、平日の朝は通勤・通学でどのみち外に出なければならない。朝の移動動線にカフェが乗れるかどうかが勝負になります。

朝30℃時代における顧客のニーズは「優雅な朝食」ではありません。

「会社に着く前に、汗を引かせて体温を下げたい」

「始業までの30分間を、クーラーの効いた空間でリセットしたい」

「移動途中の緊急避難場所として、涼を取りたい」

▼ 朝の打ち手

クールダウンメニュー:エスプレッソフローズン・塩分ミネラルを補給できる冷製ポタージュ。レモン・ライム・ゆずなど柑橘系の酸味、炭酸系(ソーダ割り・スパークリング)、ミント・レモングラスなどのハーブの香りを取り入れることで、飲む前から視覚・嗅覚・味覚すべてで涼しさを感じさせる設計が重要です。

着席と同時に極冷おしぼりを提供:「入ってすぐ涼しい」体験が口コミを生む

冷気が直接当たる席の優先案内:「あの席が気持ちいい」というリピート動機になる

戦略 02 / 昼

来店を諦め、テイクアウト・オフィス需要に振り切る

12〜15時の最も暑い時間帯は、来店客数が落ちることを前提として設計します。「この時間帯も集客しなければ」と販促費・人件費を投下するのは、構造的に無駄です。代わりに、このリソースを以下に振り向けます。

▼ 昼の打ち手

近隣オフィスへのテイクアウトまとめ買い対応:外に出たくない層が「オフィスで涼しく食べられる」形で商品を届ける

持ち帰りでも品質が落ちないメニュー設計:氷を入れても薄まらない濃縮リキッドベース・フローズンスイーツなど「店舗の味をそのままオフィスや自宅で楽しめる」テイクアウト設計

SNSでの昼帯コンテンツ投下:人が来ない時間帯を「仕込み・投稿・翌日の仕掛け作り」に使う

「午後の空き時間を何とかしよう」ではなく、「午後は別の戦場で戦う」という発想の転換が重要です。

戦略 03 / 夕方〜夜

夕涼み需要で単価を跳ね上げる

陽が傾き始める16〜17時以降、街の動きが変わります。日中に家やオフィスに引きこもっていた層が動き始め、「仕事帰りにどこかで涼みたい」「夕方の風を感じながら一杯飲みたい」という需要が生まれます。

▼ 夕方の打ち手

夕涼みメニューの設計:微アルコール(クラフトシードルやモクテル)+軽食で、ノンアルコール〜軽飲みの層を取り込む

「アペロタイム」の設定:16〜19時限定メニュー・時間帯割引で来店動機を作る

プレミアムドリンク・デザートのラインナップ:昼は来られなかった分「夕方は少しいいものを」という心理を活かした高単価設計

夕方は「体温が下がる時間帯」であると同時に「財布のひもが緩む時間帯」でもあります。ここでの客単価設計が、夏の粗利を大きく左右します。

最近オープンしたとあるプレミアムかき氷専門店では、営業時間を夜22時までに設定しています。通常かき氷店といえば夕方には閉まるイメージですが、これも夕方以降の来店需要を見込んだ巧みな設計と言えます。

「涼しさ」を体験価値(コト)にする空間設計

来店動機の設計と並行して重要なのが、「涼しい空間」そのものを商品化することです。単にエアコンを効かせるだけでは差別化になりません。

五感で感じる「涼」の演出

キンキンに冷やした器での提供・風鈴の音・うちわ・打ち水など、日本の夏の風物詩を取り入れた涼しさ設計。ガラス器具の選定・氷の音・ミントや柑橘の香りなど、コンセプトに合った「涼の体験」を五感で設計します。

「避暑地」としてのポジション設計

フリーWi-Fi×冷え冷えの専用ドリンク×過ごしやすい照明で、在宅ワーカーや学生にとって「家より快適な作業場(避暑地)」としてのポジションを奪いに行く設計。

SNSで「涼みに行きたい」を作る

風鈴が垂れ下がる情景・うちわ・打ち水・木桶にたっぷりの氷とともに入ったクラフトビールやソーダの瓶・ガラスの器が陽に照らされて透過された影——日本の伝統的な夏を想起させるビジュアルが「涼みに行きたい」という来店動機を生み出します。

まとめ:夏は「時間帯別コンセプトの再設計」で戦う

猛暑の夏に必要なのは、冷やしメニューを追加することではありません。

CONCLUSION

朝は急速冷却の避難場所として、昼はテイクアウト・オフィス需要として、夕方は夕涼みの単価アップ設計として——時間帯ごとに顧客心理を読み、メニューと体験設計をシフトさせることが、夏場の粗利を最大化する唯一の戦略です。

「暑いから仕方ない」と諦めている競合を横目に、時間帯別に設計し直した店舗だけが夏を制します。


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河合 真由子
Mayuko Kawai
フードスタイリスト / フードコンサルタント
岐阜県出身
大学卒業後、流通業界に就職。販促企画、VMDなどを経験。その後、海外で飲食店の出店支援やカフェの立ち上げに携わる。帰国後、フードコーディネーター養成スクールを経て独立。雑誌、CM、広告のスタイリング、フードコーディネート、飲食店へのメニュー提供、飲食コンサルティングを行う。
めざましTVのお仕事がきっかけで朝型のライフスタイルにめざめ、朝ごはんメニューの提案と朝の時間をもっとたのしみたい女子の朝活コミュニティ「とっておきの朝食会」を主催。
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