飲食店開業の相談を受けていると、本業で成功している経営者ほど、意外なところで立ち止まることがあります。経営経験がないから失敗するのではありません。むしろ逆です。成功体験があるからこそ見落としやすいポイントがある。その構造を、開業支援の現場から整理します。
カフェ開業が難しいと言われる本当の理由
「飲食店の廃業率は高い」という話はよく聞きます。しかし廃業の原因を「資金不足」「立地の悪さ」だけに求めるのは表面的です。
現場で見ていると、うまくいかない店には共通した「判断のズレ」があります。しかもそのズレは、開業前の準備段階で既に始まっています。
ターゲットが広すぎる
「地域の方みんなに来てほしい」「老若男女問わず使える店にしたい」。
開業相談でよく聞く言葉です。気持ちはよく分かります。でもこれは、実質的にターゲットを決めていないのと同じです。
ターゲットが全員になると、メニューも内装も価格帯も「なんとなく無難」な方向に引っ張られます。結果として、誰かに刺さる店ではなく、誰にとっても印象に残らない店になりやすい。
特定の誰かに選ばれる店を作ることが、結果として幅広い支持につながります。
理想のイメージの寄せ集めになる
「あの雑誌で見た内装がいい」「インスタで話題のあのカフェのような雰囲気」「旅先で感動したあのコーヒーを出したい」。
インプットが豊富なのは良いことです。感度が高い証拠でもある。しかしそれを一つの店として統合する軸がないまま進むと、「どこかで見たことがある店」になります。
A店の内装、B店のコーヒー、C店のパン。それぞれは良くても、一つの空間として体験したときにちぐはぐになる。お客様は無意識にそのズレを感じます。
「なんか違う」と思われた店に、人はリピートしません。
メニューから考えてしまう
「コーヒーは何を使うか」「スイーツは何を出すか」「ランチはやるべきか」。
メニューの検討は楽しい作業です。具体的になった気がするし、進んでいる実感がある。だからこそ最初に手をつけてしまいがちです。
しかし「何を売るか」の前に「誰に来てほしいか」が決まっていないと、メニューに一貫性が生まれません。
ターゲットが決まれば、価格帯も、量も、見た目の方向性も、自然と絞られます。逆に言えば、ターゲットなきメニュー開発はいくら時間をかけても着地しません。
オペレーション視点が抜ける
メニューが決まった。内装のイメージも固まった。では実際にそれを「回せる」かどうか、考えたことがあるでしょうか。
メニュー・厨房レイアウト・人員配置は、切り離して考えることができません。そしてその判断は、メニューを検討している段階から始まっています。
たとえばコーヒー一つとっても、ハンドドリップで提供するのか、バッチブリュワーで効率化するのかによって、必要なスタッフのスキルと人数が変わります。カフェラテにラテアートを施すなら、それができるバリスタの確保と育成が前提になる。一杯の飲み物の提供方法が、採用計画・設備投資・導入コストすべてに連動しているのです。
それだけではありません。オペレーションが設計されていない店は、機会ロスが常態化します。混雑時に提供が遅れる、品質がばらつく、スタッフが疲弊して離脱する。その結果は売上に直結します。せっかくお客様が来てくれても、回せない店は売上を取りこぼし続けます。
メニューは「何を出すか」だけでなく「どう出すか」まで決めて初めて完成します。そしてその「どう出すか」が、原価率・人件費・設備費を決定づける。開業後に気づいても、簡単には修正できません。
なぜこの落とし穴にはまるのか
4つの落とし穴に共通する原因は何か。
「コンセプトがないから」とよく言われます。しかし正確には少し違います。
CORE INSIGHT
判断軸が整理されていないからです。
「こういう店にしたい」という想いは、ほとんどの方が持っています。問題はその想いを、実際の意思決定に使える形に整理できていないことです。
内装を決めるとき、メニューを選ぶとき、スタッフを採用するとき。都度「これはうちの店らしいか」と判断できる軸があれば、寄せ集めにも広すぎるターゲットにも陥らずに済みます。
私たちが開業支援で最初にやること
Recipe of Lifeでカフェ開業支援をするとき、最初に取り組むのはメニュー開発でも内装選定でもありません。
想い・強み・顧客ニーズの3つを整理することから始めます。
- オーナーがこの店に込めたい想いは何か
- 他の店にはない自分たちの強みはどこにあるか
- ターゲットとする顧客が本当に求めていることは何か
この3つが揃ったとき、初めてメニューも内装も「選べる」状態になります。逆に言えば、ここを飛ばしてどれだけ準備を進めても、後から必ずやり直しが来ます。
判断軸を先に作る。それが開業後もぶれない店を作るための、最初の一手です。
構想はある。でも頭の中が整理できていない。
そんな段階からのご相談を受け付けています。
一度整理しませんか。


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