Recipe of Life | フードスタイリスト、フードコーディネーター河合真由子 東京

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飲食店経営

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カフェ経営の収支を立て直す、売上の積み上げ方を時間帯・客単価・原価から再設計する

カフェ経営の収支を立て直す、売上の積み上げ方を時間帯・客単価・原価から再設計する
「席は埋まっているのに利益が出ない」「ドリンクもフードも出ている。お客様も来ている。なのに月末の収支が厳しい」——カフェを開業して数ヶ月が経ったとき、こうした状況に直面するオーナーは少なくありません。

問題は集客ではありません。売上の積み上げ方の設計にあります。

この記事では、すでに営業中のカフェが収支を改善するために見直すべきポイントを、収支設計・客単価・原価率・時間帯別売上の4つの視点から整理します。

収支設計——「満席前提」が最初のミスになる

収支計算をしていないオーナーはほとんどいません。問題は、その試算が現実と乖離していることです。最も多いのが「満席前提」で設計してしまうパターンです。満席が続く前提で収支を計算すると、数字上は利益が出ます。しかし実際の営業は、満席の日もあれば、閑散とした日もあります。天候・季節・曜日・近隣のイベント——これらすべてが売上に影響します。

松・竹・梅で収支を設計する

松

好調時:席稼働率80%以上

竹

平常時:席稼働率50〜60%

梅

不調時:席稼働率30%以下

3パターンで試算することで、「松が続いた場合の利益」「竹が続いた場合の収支」「梅が続いた場合の赤字幅」がそれぞれ見えてきます。

POINT

重要なのは、梅の月が来ることを前提に月次・半年・年間スパンで収支を設計すること。「この月は梅だったが、前後の月の松・竹でカバーできる」という年間の波として捉える視点がカフェ経営の現実に合っています。

2026年の9月は雨が異常に長く、飲食店はどこも売上に苦戦しました。こうした外部要因は毎年必ず訪れます。梅雨・台風・猛暑・年末年始——「このシーズンはこのくらい落ちる」という季節性を読んだ上で、年間を通じた収支設計をしておくことが、安定経営の基盤になります。

客単価——走り出したお店で見直すべきこと

開業前のメニュー設計と、実際に走り出してからの最適化は別の話です。すでに営業中のお店が客単価を見直すとき、大切なのは出数・手間(人件費)・粗利・季節要因を複合的に勘案することです。

セット設計とメニュー構成は引き続き重要

コーヒー1杯で帰るお客様が、フードとのセットで注文単価が上がれば客単価は上がります。セット提案のしやすさは、メニュー表の設計と接客の両方で作れます。

走り出しているお店では「切る判断」も必要

粗利が高くても手間がかかるメニュー——仕込み時間が長い、提供に工数がかかる——は、人件費がかかりすぎて実質的な利益を圧迫している場合があります。「このメニューの粗利は高いが、提供にかかる手間を人件費に換算すると実はマイナスになっている」というケースは珍しくありません。思い切って削除するか、提供方法を簡略化することで、全体の収益性が上がることがあります。

正解は一つではない

出数が多い・手間が少ない・粗利が高い——この3つが揃ったメニューが理想ですが、現実はトレードオフです。さらに季節要因も加わります。冬はアイスドリンクの出数が減り、夏はホットの出数が減る。その変化に合わせて、仕込み量・メニュー構成・推しメニューを切り替えていくことが、収支を安定させる実務的なアプローチです。

原価率——コントロールの前に「何のための原価か」を問う

原価を下げることは大事です。しかしお客様の満足度と連動しない原価コントロールは、売上そのものを下げます。

安い食材に変えてコストを削減した結果、料理のクオリティが下がり、リピーターが減る——これは原価率の改善ではなく、売上の破壊です。原価を見直すときは、「この変更がお客様の満足度に影響するか」を必ず問い直してください。

付加価値を上げて値上げするという選択肢

原価を下げるだけが解決策ではありません。食材のグレードを上げる・盛りつけにこだわる・産地や素材のストーリーを伝える——こうした付加価値の向上によって、より高い価格でお客様に納得してもらえる状態を作ることができます。「値上げをしたら客が離れる」という恐れから値上げを避けるより、「この価格でこの体験なら納得できる」という設計を目指す方が、長期的には収益が安定します。

原価の見切りと付加価値の向上——この両輪で考えることが、原価率コントロールの本質です。

時間帯別売上——「何を目指すか」でアプローチが変わる

カフェは時間帯によって客層・客単価・回転率がまったく異なります。時間帯ごとの収益を設計するとき、重要なのは「回転率を上げるか・滞在時間を伸ばして単価を上げるか」という方向性を決めることです。どちらが正解ではなく、コンセプトと立地によって最適解が変わります。

モーニング(開店〜11時)

回転率が高く、客単価は低い時間帯です。テンポよく回転させながら、モーニングセットの設計で客単価を底上げすることが基本です。

ランチ(11時〜14時)

最も回転率が高く、売上を作りやすい時間帯です。提供スピードと品質のバランスが求められます。仕込み量の設計を誤ると廃棄ロスが増えるため、出数の予測精度が重要です。

カフェタイム(14時〜17時)— 最も設計の差が出る時間帯

回転率を上げる方向であれば、時間制の導入が有効です。ただし、時間制はお店の雰囲気を選びます。「時間を気にして過ごす」という体験はカフェのコンセプトと相性が悪い場合もあります。

もうひとつのアプローチは、長居したくなる設計にして客単価を上げることです。居心地の良い空間・追加注文がしやすいメニュー提案・スタッフの自然な声かけ——こうした設計で、1組あたりの滞在時間は長くなっても注文数が増えれば、回転率を上げなくても売上を積み上げられます。

また、満席時に「次の人に自然に席を譲りたくなる雰囲気」をお店の空気感で作るというアプローチもあります。時間制のような明示的な制約ではなく、空間設計・BGM・照明・スタッフの動きで「そろそろ出よう」という気持ちを自然に引き出す設計です。

ディナー・夜(17時以降)

アルコールやディナーメニューの導入で客単価を引き上げられますが、昼のカフェとのコンセプトの整合性が前提です。「昼はカフェ・夜はバル」という業態転換は、運営負荷と収益のバランスを慎重に検討する必要があります。

収支設計はメニュー開発と一体で考える

収支設計はスプレッドシートの中だけで完結する話ではありません。「このメニューを入れると客単価がいくら上がるか」「この食材を使うと原価率はどう変わるか」「この時間帯にこのメニューは売れるか」——メニューを決めながら同時に収支を考える習慣が、利益の出るカフェを作ります。

Recipe of Lifeでは、メニュー開発の段階から収支設計をセットで考えます。「このメニューはコンセプトに合っているか」だけでなく「このメニューで利益が出るか」「このお店の今の状況に合っているか」を同時に検証しながら設計を進めます。


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河合 真由子
Mayuko Kawai
フードスタイリスト / フードコンサルタント
岐阜県出身
大学卒業後、流通業界に就職。販促企画、VMDなどを経験。その後、海外で飲食店の出店支援やカフェの立ち上げに携わる。帰国後、フードコーディネーター養成スクールを経て独立。雑誌、CM、広告のスタイリング、フードコーディネート、飲食店へのメニュー提供、飲食コンサルティングを行う。
めざましTVのお仕事がきっかけで朝型のライフスタイルにめざめ、朝ごはんメニューの提案と朝の時間をもっとたのしみたい女子の朝活コミュニティ「とっておきの朝食会」を主催。
盛り付けレッスン 盛り付けレッスン