Recipe of Life | フードスタイリスト、フードコーディネーター河合真由子 東京

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宿泊施設(ホテル朝食など)

宿泊施設(ホテル朝食など)

宿泊施設のブッフェで客層を変えた方法、30〜40代ファミリー向け食体験設計の実例

宿泊施設のブッフェで客層を変えた方法、30〜40代ファミリー向け食体験設計の実例
「ブッフェの品数を増やした。コストもかけた。でも口コミ評価が上がらない」「若い世代に来てもらいたいが、どこから手をつければいいか分からない」。

ホテル・旅館のブッフェ担当者から、こうした相談を受けることがあります。多くの場合、問題は料理の品質や品数ではありません。「誰に・どんな食体験を届けるか」というコンセプトが設計されていないまま、料理だけが増え続けているからです。

この記事では、実際の支援事例をもとに、宿泊施設のブッフェで客層を変えるための食体験設計の考え方を解説します。

なぜブッフェのリニューアルは失敗しやすいか

ブッフェの改善でよくあるアプローチは「品数を増やす」「地元食材を入れる」「スイーツコーナーを充実させる」といったものです。どれも間違いではありませんが、これらはすべて「何を出すか」の話です。

CORE PROBLEM

「誰に」「どんな体験として届けるか」が決まっていなければ、何を変えても根本は変わりません。品数を増やせばオペレーションが重くなり、スタッフの疲弊と品質のばらつきが生まれます。コストをかけても「なんとなく普通」という評価から抜け出せない施設は、この設計が抜けている場合がほとんどです。

客層を変えるには設計から変える必要がある

ターゲット層を変えたいとき、最も効果が薄い施策は「メニューだけを変えること」です。たとえば、これまでの主要客層が50〜60代のシニア夫婦で、30〜40代のファミリー層を取り込みたい場合。この2つの客層が求めるブッフェ体験は、根本から異なります。

50〜60代シニア夫婦が求めるもの

オーソドックスなラインナップの中にも素材の質の良さが感じられること。普段の生活では億劫になってしまっている天ぷらなど手の込んだ料理がきちんとおいしいこと。そしてホスピタリティの高さ——特にスタッフの対応の手厚さを重視します。料理の品質はもちろん、「気にかけてもらえている」という体験が満足度と再訪を決める大きな要素です。

30〜40代ファミリーが求めるもの

子どもと一緒でも気兼ねなく過ごせる雰囲気・細かい配慮(子ども用食器・アレルギー対応・動線の余裕)・普段の食卓では出会えない食材や料理の組み合わせ。野菜・お肉・魚がバランスよく揃っていること、そして目新しさと豊富さのあるスイーツコーナーも重要な要素です。意思決定者はお母さんであることが多く、「ここなら安心して過ごせる」「子どもも喜んでいる」と感じられる設計になっているかが、リピートと口コミを生む核心です。

同じブッフェでも、ターゲットが変わればメニュー構成・器・什器・空間レイアウト・スタッフの動き方まで変わります。メニューだけ変えても、体験全体の設計が変わらなければ新しい客層には届きません。

支援事例:岩手県某旅館のブッフェダイニングリニューアル

BEFORE / 課題

客層の高齢化・宴会場廃止・新ダイニングの立ち上げ

長年の主要顧客層が高齢化しており、宴会場を廃止して新しいブッフェダイニングを立ち上げるにあたり、30〜40代の子育て世代を新たなターゲットとして取り込みたかった。「若い家族連れが来たいと思える場所にしたい」というオーダーからスタートしました。

PROCESS / コンセプト設計から始めた理由

「誰に・どんな場所か」を言語化することが最初の仕事

最初に取り組んだのはメニュー開発ではなく、「このブッフェダイニングが誰にとっての・どんな場所であるか」の言語化でした。

30〜40代のファミリー層が「また来たい」と思える体験とは何か。子どもが楽しめながら、親も満足できる食体験とは何か。この問いに答えを出してから、初めてメニュー・器・什器の設計に入りました。

SUPPORT / 支援内容

コンセプト設計を軸に一気通貫で支援

ターゲット層に合わせたメニュー構成の設計・監修

盛り付けの方向性と視覚設計

オペレーション改善(スタッフが無理なく回せる導線設計)

食器・ブッフェ什器のセレクト(子どもが使いやすい・親が映えると感じる器選び)

AFTER / 結果

プロが選ぶ日本のホテル旅館百選 料理部門で上位を継続獲得

リニューアル後、プロが選ぶ日本のホテル旅館百選の料理部門で上位を継続して獲得。ターゲット層の変化に合わせた食体験の設計が評価として数字に表れた事例です。

ブッフェ設計で押さえるべき4つの視点

01 コンセプトを先に決める

誰に・どんな体験を届けるか。ここが決まって初めてメニューも什器も「選べる」状態になります。コンセプトなきリニューアルはいくら予算をかけても「なんとなくきれいになった」で終わります。

02 象徴となる一皿・一体験を作る

品数が多くても「記憶に残る一皿」がないブッフェは印象に残りません。そのターゲット層が「これを食べにまた来たい」と思える看板メニューを設計することが重要です。

03 視覚設計を忘れない

ブッフェは「選ぶ体験」です。陳列の高低差・色のバランス・器の見せ方・照明との相性——これらが「おいしそう」「取ってみたい」という行動を生み出します。認知心理学の視点から言えば、視覚情報が食欲と期待値を形成します。

04 オペレーションと一体で設計する

理想のブッフェを描いても、現場スタッフが疲弊して品質が安定しないなら意味がありません。メニュー・什器・動線をオペレーションの現実と合わせて設計することが、持続的な品質維持に繋がります。

Recipe of Lifeのアプローチ

ホテル・旅館のブッフェ・食体験設計を支援するとき、Recipe of Lifeが最初に取り組むのはメニュー開発ではありません。コンセプトの整理と、ターゲット層への「届け方」の設計から始めます。

その上で、メニュー構成・盛り付け・器・什器・オペレーション設計まで一気通貫で支援します。認知心理学・知覚心理学の視点から「なぜその食体験が記憶に残るか」を設計できることも、他にない強みです。


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河合 真由子
Mayuko Kawai
フードスタイリスト / フードコンサルタント
岐阜県出身
大学卒業後、流通業界に就職。販促企画、VMDなどを経験。その後、海外で飲食店の出店支援やカフェの立ち上げに携わる。帰国後、フードコーディネーター養成スクールを経て独立。雑誌、CM、広告のスタイリング、フードコーディネート、飲食店へのメニュー提供、飲食コンサルティングを行う。
めざましTVのお仕事がきっかけで朝型のライフスタイルにめざめ、朝ごはんメニューの提案と朝の時間をもっとたのしみたい女子の朝活コミュニティ「とっておきの朝食会」を主催。
盛り付けレッスン 盛り付けレッスン