Recipe of Life | フードスタイリスト、フードコーディネーター河合真由子 東京

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飲食店開業

飲食店開業

飲食店開業のはじめ方|コンセプト・メニュー・原価・集客まで全工程を一気通貫で解説(完全ロードマップ)

飲食店開業のはじめ方

飲食店の開業は、多くの人にとって「人生で一度は挑戦したい夢」です。一方で、開業後3年で約6割が閉店するという厳しい現実もあります。

ただし——。失敗する店には共通点があります。そして成功する店にも、明確な型があります。

この記事では、飲食店開業を“再現性高く成功させるための流れ”を、コンセプト設計 → メニュー開発 → 原価 → 体験設計 → 集客 まで一気通貫で解説します。

小規模飲食店(1〜2店舗)、個人事業主、宿泊施設のレストラン、そしてエンタープライズの新規事業まで対応できる“軸の記事”です。

これから開業する方にも、リニューアルを検討している方にも、長く読み返せる「保存版」として役立つ内容にしています。


1. 飲食店開業の全体像|まず“全体の地図”を把握する

飲食店開業は、以下の5つのプロセスで進みます。

  1. コンセプト設計
  2. メニュー設計・原価・体験価値の設計
  3. 店舗オペレーション・仕入れ・衛生管理の準備
  4. 収支計画・原価管理の確立
  5. 開業前後の集客・ブランド設計

この順番を誤ると、開業後のさまざまな“歪み”につながります。

(例)

  • 内装を先に決めてしまった結果、コンセプトと世界観がズレる
  • メニューを決めないまま厨房設備を発注する
  • 写真の弱さが集客で致命的になる

まずは全体の地図を理解し、順番を守って進めることが成功の近道です。


2. STEP1|飲食店のコンセプト設計

飲食店の成否は、ほぼこの工程で決まります。

なぜ“コンセプトの甘さ”が開業失敗につながるのか?

コンセプトが曖昧だと、以下がバラバラになります。

  • メニュー構成
  • 提供スピード
  • 内装
  • 価格帯
  • PRの方向性

結果として「誰にとっても行く理由のない店」になります。

コンセプト設計の4つの軸

  1. ターゲット(誰のための店か)
  2. 提供する価値(どんな“状態変化”を与えるか)
  3. 世界観(内装・器・写真の方向性)
  4. メニュー・価格帯(競合との差別化)

ターゲットは“行動”で定義する

年齢や性別ではなく、「どんな利用シーン・課題に応えるか」で設定します。
例えば、

  • 出勤前のひとり朝食
  • 友人と気兼ねなくおしゃべりできるカフェ
  • 小さいお子様連れでも気兼ねなく入れるカジュアルなレストラン
  • 特別な日にプライベートで楽しみたいとっておきのフレンチ 等、

お店側がどんな利用シーンで使えるお店なのかを明確にうたう必要があります。
またその背景にはターゲットとするユーザーが抱える課題を解決するというミッションも背負います。

 

このお店側が提示する利用シーンと、ユーザーがお店に期待するイメージミスマッチがおこるとどんなにおいしいメニューをつくっても人気店への道のりは厳しくなります。

コンセプトで迷う方へ:専門家に相談するメリット

  • やるべきこと/やらなくていいことが明確になる
  • お客様が求める価値が整理される
  • 価格帯の妥当性がわかる

コンセプト設計は、開業コンサルでも最も依頼が多い領域です。

開業・メニュー開発のご相談はこちら


3. STEP2|飲食店のメニュー開発の進め方

メキシコ料理レストランメニュー

飲食店の“売上”と“口コミ評価”を左右するのがメニュー開発です。

メニュー開発の基本フロー

  1. コンセプトとの整合性確認
  2. シグネチャーメニューの設計
  3. 原価率の計算
  4. 試作→試食会で改善
  5. 最終レシピの確定
  6. 盛り付け・提供スピードの調整

人気店の共通点:メニュー構造が強い

  • 軸となる1品が圧倒的に強い
  • 世界観を表す副菜・ドリンクがある
  • 提供スピードの速い品が複数ある

    この店といえばあれといわれるわかりやすい看板メニューがあるとユーザーにも想起されやすいです。
    お店名に必ずショルダーコピーとして何が売りのお店なのかも一緒にいれておくのもポイントです。

原価率の設計は最初から“逆算”する

カフェ・定食業態なら28〜32%が基本ラインです。また食材費高騰が顕著な昨今は、原価設定を余裕をもっておくと、急な値上げ対応に苦慮する必要もありません。メニュー全体の構成の中から、原価が高くてもオリジナリティの高いレシピや、一般的なメニューだけども原価抑えめでお酒が進む一品などトータルのバランスで原価管理をするのもコツです。

試作〜試食会(PoC)のポイント

  • 香り
  • 食感
  • 盛り付け
  • 再現性
  • 原価
  • 提供時間

試食会では、自分が美味しかったと感じるだけでなく、ユーザー目線にたち、ユーザーがどう感じるか?という視点も大事です。
また、単体で食べたときの印象と、食事全体として食べたときの印象でどう変化するかなども検証が必要。

お店の雰囲気とあわせて想定する単価で提供された時に、するっとお財布からその金額をだせるメニューかどうか?(CP)というのもあわせて考慮しておきたいポイントです。

盛り付け・写真が売上を左右する理由

人は視覚で“おいしさ”を判断する比率が70%超。写真が弱い店はそれだけで機会損失になります。
特に近年では、googleの口コミやインスタグラムなどで掲載されている写真でお店を訪れるかを判断する傾向が強まっています。

開業準備は非常に多くのタスクを同時進行ですすめなくてはなりません。
そのため写真撮影は、プロにまかせることで最速で料理の魅力を伝えることが可能になります。



4. STEP3|店舗運営の基礎設計(オペレーション・仕入れ・衛生管理)

飲食店店舗オペレーション

スタッフ動線と提供スピード

  • 提供まで10〜12分以内(平日ランチは8分)
  • キッチンとホールの動線
  • 仕込みの標準化

ロス管理の設計

  • 仕入れ頻度
  • 仕込み量
  • 廃棄原価

ロス率が高い店は、どれだけ売れても利益が残りません。


5. STEP4|原価・収支計画の立て方

飲食店の収益は席数 × 回転率 × 客単価で決まります。

収支予測で見るべきポイント

  • 月の必要売上
  • 固定費(家賃・人件費)
  • 原価率
  • オペレーションの限界値

    原価については、食品の歩留まりを考慮して計算することも重要です。


6. STEP5|飲食店の集客・マーケティング設計

開業前にやること

  • 世界観の写真を準備
  • SNSアカウントの雰囲気づくり
  • Googleビジネスプロフィール(MEO)開設
  • 試作写真をインスタで告知

開業後にやること

  • 看板メニュー投稿
  • インスタ・MEOの継続更新
  • リール・ストーリーで裏側を見せる
  • 顧客行動データから改善

 

開業前から、開店までの各プロセスを動画や写真でSNSで伝えていくことも効果的なファンづくりの方法です。
ポイントは、お店が開業する前からお店のファンをつくることです。


7. STEP6|店舗デザインと内装の考え方

飲食店内装設計ポイント

内装設計のポイント

  • 世界観の統一(器・照明・色)
  • 提供スピードに合う導線
  • 滞在時間の設計

お店のコンセプトにあわせ、家具や内装を決めていきます。特に昨今は、ユーザーが料理だけでなく、料理を含めたお店の雰囲気のよさを写真に収める傾向にあり、世界観の統一もポイントです。
料理でいえば、料理がうつる背景のテーブルが映えること。また、料理と器と背景のテーブルの統一感も比較的重視させるポイントです。


8. STEP7|写真・ビジュアルの完成度で売上が変わる

ステーキの盛りつけ

昨今の飲食店における写真とビジュアルの重要さは日増しに高まっています。
簡単にまとめると、

  • 写真=売上
  • 器=世界観
  • 盛り付け=第一印象  となります。

おいしい料理をつくるだけでは、売上につながらず、また器との相性もユーザーがチェックするポイントです。
また料理と器をあわせた際の、その盛り付けも第一印象となるため、こちらもやはり全体の世界観の統一性を求められる
お店のセンスの見せ所です。

また、写真でいえば、インスタグラムなどのSNSはもちろんのこと、Googleマップの写真は売上に直結するポイントです。
ここは、料理写真のプロにまかせるのが最短で成功するルートともいえます。


9. 飲食店開業チェックリスト(保存版)

  • コンセプトが明確
  • メニュー構造が整理されている
  • 原価率が設計済み
  • 試作・試食会を実施
  • 写真・器・世界観の準備
  • SNS・MEOの整備
  • オペレーションの仕組み化
  • 収支計画が現実的
  • PR動線が整っている

    チェックリストをつかって開業全体のスケジュールを立ててみて下さい。

10. まとめ|開業の成否は「コンセプト×メニュー×体験設計」で決まる

飲食店開業は難しいと言われますが、正しい順番で進めれば、成功率は大きく高まります。

  • コンセプト
  • メニュー
  • 原価
  • 写真
  • 世界観
  • 体験価値

これらが一貫している店は口コミが伸び、広告費に頼らなくても成長できます。

お問い合わせ|開業相談・メニュー開発をご希望の方はこちら

飲食店開業には、コンセプト設計からメニュー開発、原価管理、写真・世界観づくりまで、実に多くの工程があります。
ひとりで進めていると、どこに時間を使えばいいのか迷ったり、判断がつかなくなる場面も少なくありません。

そんなときこそ、一度プロの視点を取り入れることで、やるべきことが明確になり、理想のお店づくりがぐっと前に進みます。

あなたが思い描くお店のかたちを、最短ルートで実現するために。
ぜひ一緒に、開業・メニュー開発の戦略づくりを進めていきませんか?

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河合 真由子
Mayuko Kawai
フードスタイリスト / フードコンサルタント
岐阜県出身
大学卒業後、流通業界に就職。販促企画、VMDなどを経験。その後、海外で飲食店の出店支援やカフェの立ち上げに携わる。帰国後、フードコーディネーター養成スクールを経て独立。雑誌、CM、広告のスタイリング、フードコーディネート、飲食店へのメニュー提供、飲食コンサルティングを行う。
めざましTVのお仕事がきっかけで朝型のライフスタイルにめざめ、朝ごはんメニューの提案と朝の時間をもっとたのしみたい女子の朝活コミュニティ「とっておきの朝食会」を主催。
盛り付けレッスン 盛り付けレッスン